KAOS (80) 文を形式化する基礎としての論理:命題論理 (4.4.1-4)

推論(証明)規則の続きである.

¬¬e: ¬¬Φ ⊢ Φ

いま考えている論理では,2つの値しかとらないとする.従って,否定を重ねる(¬が2つ)ことで元に戻る(¬がゼロ).¬¬e規則(去-¬)と呼ばれる.

次は加える規則である.¬¬i規則(入-¬,が日本語バージョン.先と同様に¬の数が1つか2つかの違いがあるが,名称が異なるだけで,操作としては同じである).

¬¬i:Φ ⊢ ¬¬Φ

次の日本語の文を考える.

雨が降っていないというのは真ではない.

¬¬e規則を適用すると二つの否定を取り除くことになるので,次のようになる.

雨が降っている(というのは真である).

明快さは後者だが,前者からは微妙に降っている雨の様子が想像できるのに対して,後者は程度について分からない.しかし,その日本語としての読み込みはしないというのが,前提である.また,間違いを避けるためにも,要求書中の文中では,二重否定は望ましくない.

今回も例題である.

次は正しいか.

p, ¬¬(q∧r) ⊢ ¬¬p ∧ r

前提は,¬¬eと,前回の∧i規則によって,p ∧(q∧r)となる.q∧rは,∧e規則によって,rとできる.pに対して,更に¬¬iを適用すれば,¬¬p ∧ rとなる.

(nil)