KAOS (13) 要求のカテゴリ:非機能 (1.1.5-2)

要求のカテゴリ

非機能要求

非機能要求は,ソフトウェアが機能要求を満足するとき,或いは開発中に満足すべき制約を定義している (p.24)

例としては,以下が挙がっている.

  • 文献検索を行う時および結果を表示する時のフォーマットは,コンピュータの経験がない学生にも利用可能であること
  • 加速指令は,全ての列車に対して3秒ごとに送信すること
  • 参加者のスケジュール制約は,他の出席予定者に開示されないこと

非機能要求というのは,機能要求に比べると注目されることが少ない.原書で挙げられている書籍のうち,古典的となっている教科書に,NON-FUNCTIONAL REQUIREMENTS IN SOFTWARE ENGINEERING 1がある.

本のタイトルは,ソフトウェア工学における非機能要求と,いわばカテゴリ名そのままである.よく整理された本であり,(非機能要求に対する関心が低いことも相まって)今後この本を超えるのはなかなか難しいと思う.以下,書名が長いので,NRF本ということにする.

NRF本の前半では,非機能要求のタイプについて議論している(5章).サーベイの結果として,161の非機能項目が挙がっている(数え間違いしていなければ).もちろん,この項目一つ一つについて議論する訳ではなく,フレームワークを用いて,正確性・セキュリティ・性能について詳細な議論を進めている.

Lamsweerdeさんは,上記のNRF本を引用した上で,分類を示している.もちろん,網羅的ではないという但し書きつきでだ.下図は,機能・非機能の機能分類で,赤曲線枠内が,非機能に関連している.

さて,NRF本のおもしろさは,フレームワークにある.ちょうどKAOSゴールモデルとGSNを融合したような形式を持つ,汎用的な枠組みである 2.ただ,ここで横道には入らないでおく.

(nil)

Notes:

  1. Chung, L., Non-functional requirements in software engineering. Kluwer Academic: Boston, 1999.
  2. そのため 161全部を示す必要がない.