KAOS (6) 「なぜ」次元 (1.1.3-1)

新しいシステムの版が何故必要かは,新システムで達成すべき目的として明確にする必要がある(p.13)

今回取りあげる文は,少しひっかかる.システムが必要な理由とシステムの目的は,一致しない.会議管理システムは,調整が大変だから必要である.システムの目的は,会議の調整が容易なシステムを作るである.少なくとも,否定の関係にある.正確に言えば,「新システムの達成すべき目的には,そのシステムが必要な理由が関連づけられていなければならない」ということか.ただ,これでもまだすっきりはしない.

下図は,図1.2である(すこし改変している).一番右(将来システム)には,すでにKAOSの原型とでもいえる構造が現れている.

要求工学の次元

将来システムの目的は,「どうして(WHY)」次元としている.

ここでは,注意深い分析が必要としている.

  • 新システムの目的を正確に言えば何になるのか
  • 悪影響はないか
  • それら目的はどのように関連しているのか
  • ビジネスの目標とどのように対応しているのか

ちなみに,ここには,WHYで始まる文は一つもない.それでも「なぜ」次元なのである.

 思うにLamsweerde さんが主張したいのは,目的に関して「なぜ」を徹底しろということではないか.それが,単になぜではなく,「なぜ」次元としている理由でもあるだろう.このことを踏まえて,最初の文の新たな日本語を考えてみる.

「新システムで達成すべき目的は,「なぜ」を繰り返すことで,明確にする必要がある」

KAOSは,トップダウンの構造をとるため,スタートがぶれるてはいけないということでもあると思う.

(nil)